土谷総合病院

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診療科・各部門

Introduction of Department

心臓血管外科記事

経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)

トピックス : 進化するTAVI弁
TAVIに使用する弁の改良が日々進んでいます

日本では、現在SAPIEN弁とCoreValve弁の2つのTAVI弁が使用できます。今年から、それぞれの弁が改良され、より安全で確実な治療が可能となっています。

SAPIEN 3弁 : 弁逆流が減少。生命予後の向上が期待

心臓を止めて弁を縫い付けるのではなく、カテーテル的に弁を留置するのがTAVI弁です。留置した組織とTAVI弁の間に隙間ができて、血液が心臓に逆流するのが問題の1つでした。新しい弁は、スカートをまいて逆流を制御します。

SAPIEN弁:今までの弁と新しい弁

Corevalve Evolut-R弁 : 留置位置の再調整機能が装備

TAVI弁を留置する際は細かい位置調整を行います。場合によっては1~2㎜の精度を必要とします。もともと形状記憶合金が使用されているCorevalveの新しい弁は、一旦留置を開始した後もリキャプチャー(巻き戻し)してやり直しが可能です。

CoreValveは位置調整が可能CoreValve、留置図とリキャプチャー図

リキャプチャーにより、留置場所の再調整が可能

TAVIとは?
  • 重症の大動脈狭窄症に対する新しい治療方法です
  • 特徴は、開胸することなく、また心臓も止めることなく、カテーテルを使って人工弁を心臓に留置する方法です
  • 利点は、切開が非常に小さくてすみ、また人工心肺も使用しなくて済むことから、患者さんの体への負担が少ない治療です
大動脈弁狭窄症とは?
  • 大動脈弁狭窄症とは、心臓弁膜症のひとつで、動脈硬化が主な原因で、大動脈弁の開きが悪くなり、血液の流れが妨げられてしまう病気です。高齢社会に伴い、動脈硬化による大動脈弁狭窄症の患者さんが年々増加傾向にあります
    65歳以上で大動脈弁狭窄症と診断される人の割合は2~4%
  • 軽度のうちはほとんど自覚症状がありませんが、病状が進行すると、動悸・息切れ・疲れやすさなどの症状が現れ、重症になると胸痛や失神を伴って突然死に至る可能性もあります
    年齢と生存率
  • 症状と聴診で、かなりの方が診断できる病気で、外来でのエコー検査で、容易に確定診断できる病気です

※重症の狭窄症においては弁を取り換える事が唯一の治療法となります。

TAVIの対象となる患者さんは?

従来の開胸による大動脈弁手術は非常に成績が良いので、手術の危険度が低い患者さんはTAVIの対象となっていません。高齢やその他の病気で体力が低下した患者さんが対象で、そのうちエコー・CT検査でカテーテル留置可能と判断させれば、実際にTAVIが施行されます。ただ、現時点では、透析患者さんは対象外です。

具体的な対象者の例として、

  1. 高齢者:目安85歳以上
  2. 冠動脈バイパス術後
  3. 肝硬変(child B)
  4. 縦隔へのradiation後、食道がん再建後
  5. 肺予備能:一秒量:1L以下
  6. 体力低下:frailty: スケール評価(4-7)

などですが、個々の患者さんに対して精密検査した上で、土谷総合病院の多職種で構成されたハートチーム内で検討し、最終的に決定しています。

TAVIハートチームによる術前評価 土谷総合病院の多職種によるハートチーム
その他の治療方法は?

大動脈弁狭窄症に対する治療法として、以下の3つの治療が選択肢となります。

大動脈弁狭窄症に対する3つの治療法

*外科的治療は、確立された標準的な治療です。

土谷総合病院では、小切開による、外科的人工弁置換術を行っています。

■外科的治療を行なっている心臓血管外科の紹介は コチラ